Bark at Illusions Blog

── Media Watchdog Group

2021-01-01から1年間の記事一覧

難民の人権問題で批判されるべきは、ベラルーシではなくてEUだ

西アジアなどからベラルーシを経由してEUへ向かう難民のことが問題になっている。今年夏以降、ベラルーシとポーランドの国境で大勢の難民が足止めされたことに注目が集まった。ベラルーシを経由する難民の数は、EUが反政府デモやメディアへの弾圧を強めるベ…

ウクライナを巡る欧米との緊張緩和のためにNATO不拡大などを求めるロシアの提案は、受け入れられないものだろうか

ウクライナ情勢を巡って、合衆国やEU諸国とロシアの緊張が高まっている。合衆国とEUはロシア軍がウクライナとの国境付近に大規模な軍隊を集結させていると言ってロシアを非難し、ロシアがウクライナを侵攻すれば「高い代償」を払わせると警告している。ロシ…

合衆国政府の言論弾圧に沈黙するマスメディア

オスロのノーベル平和賞受賞式で「表現の自由」が祝福された同じ日に、ロンドンでは英国の高等法院(高裁)がウィキリークス創設者であるジュリアン・アサンジの合衆国への送還を認める判決を出した。合衆国政府は同国の戦争犯罪などを公にしたアサンジを “…

合衆国が先に制裁を解除すべきだというイランの要求は正当なものだ

イラン核合意の正常化に向けた関係国の交渉が約5か月ぶりに再開した。イラン核合意は欧米の対イラン制裁解除と引き換えに、イランが核開発を大幅に制限する内容だが、合衆国のトランプ前政権が核合意から一方的に離脱して経済政策を復活させ、イランは対抗措…

個人的な恋愛関係の問題を人権問題にすり替えて北京オリンピックボイコットのキャンペーンに利用するのはやめろ

中国の張高麗元副首相と自身との関係について告白した内容の文書をSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)に投稿した中国のテニス選手、彭帥さんを巡って、中国政府や国際オリンピック委員会(IOC)に対する批判が続いている。彭帥さんはSNSへの投稿後、…

NHKが「脱炭素化に向けた取り組みを主導していく強い意志」を国内外に示したと解説する岸田文雄のCOP26の演説は化石賞

岸田文雄総理大臣は、「気候変動という人類共通の課題」に日本が「総力を挙げて取り組」む「決意」を伝えるために、国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)の開催地、スコットランドのグラスゴーを訪れ、演説した。

中国軍機による台湾の防空識別圏飛行は、合衆国の対中政策に対する中国側の当然の反応

今月に入って中国の戦闘機などが連日台湾の防空識別圏を飛行したことが、 “国際社会” やマスメディアの注目を集めた。4日間で延べ149機もの中国軍機が飛行したが、これは過去に例のない多さだという。今回の中国の軍事行動が台湾海峡の緊張を高める行為であ…

人民新聞やウィキリークスへの言論弾圧は、マスメディアにとって「言及してはいけない」事実

今年のノーベル平和賞は、フィリピンの調査報道サイト・ラップラー共同創設者のマリア・レッサ氏と、ロシアの独立系新聞・ノーバヤ・ガゼータ編集長のドミトリー・ムラトフ氏が受賞することに決まった。それぞれの国における「表現の自由のための勇敢な戦い…

米英豪の新たな軍事協力の枠組み発表で、マスメディアが懸念するのは合衆国とフランスの同盟関係への影響

オーストラリア、英国、合衆国の3か国は、中国に対抗するために、「AUKUS(オーカス)」と呼ばれる新たな軍事協力の枠組みを創設した。その最初の取り組みの一つとしてオーストラリアの原子力潜水艦配備の支援を行い、軍事分野で重要性が高まるサイバー分野…

“同盟” 強化のために日本はもっと合衆国に貢献する必要があると訴えかけるニュースウオッチ9

アフガニスタンでのタリバンの復権と米軍の撤退は、合衆国の同盟国や友好国に対して「見捨てられる」のではないかとの懸念を与えているようだ。「強圧的な中国」と向き合う上で日本はどうすべきか。ニュースウオッチ9(21/8/20)は、中国との関係が冷え込む…

最も支援が必要な時にアフガニスタンから人も資金も逃避させる “国際社会”

欧米を中心とする “国際社会” は、アフガニスタンに住む人々のことなどどうでもいいようだ。合衆国の占領に協力してきたアフガニスタン人がタリバンの報復を恐れて国外に退避する必要があるのは理解できる。しかしタリバンのカブール制圧後、大使館職員など…

マスメディアは日本の「加害者」としての「戦争の記憶」にも焦点を当てるべきだ

戦争体験を語れる人が少なくなる中、「戦争の記憶」をどのように継承していくかという課題が、マスメディアでも取り上げられることがある。しかし日本のマスメディアが注目するのは、日本の「犠牲者」としての記憶ばかりだ。

世界的なワクチンの供給不足は資本主義社会の失敗

デルタ型の変異株の影響で新形コロナウィルスの感染者数が世界中で急増する中、200人以上の科学者や市民社会グループが、バイデン政権への公開書簡で「ワクチンの生産と供給を早急に拡大しなければ、さらに何百万人もの人々が感染し、命を落とすことになる」…

「自由で開かれたインド太平洋」で、日本は東アジアの平和と発展を損ねる愚を繰り返すのか

日本政府がアジア太平洋からアフリカに至る地域で「ルールに基づく国際秩序」を構築し、「法の支配」や「航行の自由」といった原則を定着させるために提唱したという「自由で開かれたインド太平洋」構想。ニュースウオッチ9(21/6/30)は、この構想立案の「…

最低賃金 マスメディアは労働者の生計費にもっと焦点を当てるべきだ

厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会は、今年度の地域別最低賃金額について、全国加重平均で28円増の時給930円を目安とすることを決めた。28円の上げ幅は1978年の目安制度導入以降で最大だそうだが、労働者が憲法で保障された「健康で文化的な最低限度…

医療費を巡る不適切な対立構図で世論をミスリードするマスメディア

高齢者の医療費の窓口負担を1割から2割に増やす「医療制度改革関連法」が成立した。日本政府は「現役世代」の負担軽減のためだと言うが、労働者1人当たりの保険料負担額は月平均で33円しか軽減されず、負担が増える高齢者の受診控えなども予測できることな…

マスメディアはG7の価値観を疑え

英国のコーンウォールで開催された今年のG7サミットは、合衆国のジョー・バイデン大統領が中心となって中国を念頭に民主主義国の結束を演出し、共同宣言で東シナ海や南シナ海、台湾、香港、中国の人権問題などに言及して中国を牽制した。共同宣言では中低所…

国際社会はイスラエルによるパレスチナ占領を一刻も早く終わらせなければならない

ハマスとイスラエルがエジプトとカタールの仲介で停戦に合意し、11日間に及んだ双方による軍事攻撃の応酬はようやく収まった。しかし停戦が成立したと言っても、それはとても不安定なもので、イスラエルによるパレスチナ占領という根源的な問題を解決しない…

確かに、温室効果ガス削減目標をどのように実現するかということが重要ではあるけれども……

合衆国政府の主催で行われた気候変動会議に合わせて、日本政府は2030年までに達成する温室効果ガスの削減目標を発表した。2013年度比で46%削減し、「さらに50%の高みに向けて挑戦」するそうだ。これまで掲げてきた数値を大幅に上回る目標だが、世界の平均気…

加害者や被害者の国籍によってマスメディアの人権に対する関心は変わるのか

大日本帝国時代の性奴隷被害者らが日本政府に対して損害賠償を求めた第二次訴訟で、韓国ソウル中央地裁は、日本政府が主張する「主権免除」を認め、原告の請求を却下した。日本では「主権免除」という国際慣習法を適用した今回の判決は「世界の常識に合致し…

日本と合衆国の言動が「台湾海峡の平和と安定」を脅かしている

今月16日に行われた日米首脳会談の共同声明で、菅義偉総理大臣とジョー・バイデン大統領は、台湾について言及した。これは1969年以来のことで、日中国交正常化以降初めてのことだという。共同声明で、日米両政府は「経済的なもの及び他の方法による威圧の行…

マスメディアはなぜ国際社会が求める知的所有権の一時放棄に反対している合衆国や日本政府を問題にしないのか

日本でもようやく一般向けの新型コロナウィルスワクチンの接種が始まった。日本のワクチン接種は欧米や中国などに比べて遅れを取っていることから、「国産ワクチンの遅れ 中長期的な戦略が必要だ」(毎日、21/4/8、社説)、「ワクチン確保 中長期見据えた戦…

トリチウム汚染水についての「国民の理解」が広がれば……

東京電力福島第1原子力発電所でたまり続けるトリチウムを含む放射能汚染水の処理について、日本政府は希釈して海に放出する方針を固めた。東電や国家の負担軽減を最優先に考えた結果だろう。放射性物質トリチウムについては人体に有害な影響を与える科学的…

朝鮮半島を非核化するには、合衆国の対朝鮮敵視政策の撤回が必要だ

巡航ミサイルに戦術誘導ミサイル。朝鮮が立て続けにミサイル実験を行った。マスメディアは、その直前まで行われていた米韓合同軍事演習については、同じように朝鮮半島の緊張を高める行為であるにもかかわらず全く問題にしなかったくせに、朝鮮のミサイル実…

ルールに基づく世界の秩序を脅かしているのは合衆国だ

合衆国のバイデン新政権が、中国に対する強硬姿勢を鮮明にしている。今月3日に公表した「国家安全保障戦略暫定指針」では、「中国は、安定し開かれた国際システムに継続的に挑戦するために経済・外交・軍事・技術力を結合する潜在的能力のある唯一の競争相手…

NHKは国際法やイラン核合意を理解しているのか

イラクに駐留する米軍基地が攻撃された報復措置として、合衆国政府は先月25日、シリア東部にある民兵組織の施設を空爆した。国連安保理の承認もなく、差し迫った軍事的脅威のない状況での軍事力行使は国際法違反だが、NHKニュース7(21/2/27)は、イラン核合…

核合意を離脱した合衆国に、イランに対して条件を付ける資格はない

イラン核合意を破ってイランに対する経済制裁を続ける合衆国への新たな対抗措置として、イランは核合意で求められている国際原子力機関(IAEA)の追加議定書の履行を停止した。これによって、イランに対するIAEAの抜き打ち検査ができなくなる。IAEAとイラン…

日韓関係 問題は司法に対する認識の違いではなく、人権に対する認識の違いではないか

毎日新聞論説委員・澤田克己(毎日21/2/18)は、「[司法判断と日韓関係]認識差、冷静に直視を」と題する論説記事で、日本政府に対して大日本帝国時代の性奴隷被害者への賠償を命じた今年1月のソウル中央地裁の判決が、「国家は他国の裁判所に裁かれない」…

米軍が存在する限り、地域の平和と安定は訪れない

菅義偉総理大臣は、合衆国の大統領に就任したジョー・バイデン大統領と電話で会談し、 “日米同盟” を「一層強化」することや、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて「緊密に連携」することなどで一致し、中国や台湾との係争地である尖閣諸島におけ…

日韓関係改善のためにムン・ジェインに行動を要求するマスメディアの常識を疑う

大日本帝国時代の強制労働被害者に関する韓国のムン・ジェイン大統領の年頭記者会見での発言に、日本政府やマスメディアが注目している。会見でムン・ジェインが、「徴用工」訴訟で差し押さえられている被告日本企業の資産が「強制執行」によって「現金化」…