Bark at Illusions Blog

── Media Watchdog Group

必要なのは、兵器ではなくて交渉、そして停戦だ

 イスタンブールで行われた停戦交渉でウクライナ政府がロシア側の求める「中立化」を受け入れる考えを示し、ロシア政府が「信頼醸成」と停戦合意に向けた「環境づくり」のためにキエフ周辺での軍事活動を縮小すると発表するなど、停戦に向けた協議が動き出したかに見えた。ところが、ロシア政府が軍事活動縮小の一環として軍を撤退させたキエフ近郊の町、ブチャで、一般市民とみられる多数の遺体が確認されたことで、その雰囲気は一転。欧米と日本はロシアに対する制裁をさらに強化させ、欧米諸国はウクライナへのさらなる軍事支援を発表するなど、ようやく見えかけていた停戦の兆しなど、すっかり消えてしまった。

続きを読む

軍事同盟の強化はロシアによるウクライナ侵略に対する答えではない

 ロシアによるウクライナ侵略を受けて、日米の外相は「日米同盟の抑止力・対処力の強化」の必要性を再確認した。念頭には日米両政府が「民主主義国家対権威主義国家」の対立軸を設けて敵視する中国がある。また岸田文雄総理大臣は、「我が国の安全を守る日米同盟の抑止力、対処力」について「しっかり議論」すると国会で答弁し、日米同盟や軍事力の強化を図る考えを示した。日本侵略時の合衆国による日本防衛に疑問を呈した自民党議員に対する答弁だ。しかしロシアがウクライナを侵略したのはNATO拡大など欧米が軍事力の強化を続けてきた結果である。合衆国との同盟強化や軍事力の増強は、日本やアジア地域の平和と安定のための答えにはならない。

続きを読む

ロシアの主張を事実として伝えることは、ロシアのウクライナ侵略を正当化するためではない

 マスメディアのウクライナ情勢に関するニュースで顕著なのは、ウクライナや欧米から発せられる情報については確たる証拠が無くても事実として扱われるのに対し、ロシア発の情報は端から嘘と決めつけられ、「偽情報」として伝えられていることだ。ウクライナ東部で「ジェノサイド」が行われているという指摘も、ウクライナ政府が「ネオナチ」だという主張も、合衆国がウクライナ生物兵器を開発しているという疑惑も、ロシアが言うことはほとんど全て「偽情報」として一蹴されている。

続きを読む

合衆国政府によるアフガニスタンの資産強奪に無関心なマスメディア

 合衆国のジョー・バイデン大統領は、タリバンの政権奪取を理由に合衆国国内で凍結しているアフガニスタン中央銀行の資産70億ドルのうちの半分を、新設の基金を介してアフガニスタン人道支援に利用するための大統領令に署名した。残りの半分は、2001年の合衆国同時多発テロの被害者遺族への「賠償」の支払いに使うそうだ。しかしアフガニスタン中央銀行の資産は、バイデンの所有物ではなくて、アフガニスタンのものだ。バイデンのやっていることは略奪行為に他ならない。ところが、日本のマスメディアは全く問題だとは考えていないようで、それどころか、今回のバイデンの措置について、評価すべき人道的措置だと勘違いしているようだ。

続きを読む

マスメディアの描き出すウクライナ情勢が全てなのだろうか

 ロシアのウラジミール・プーチン大統領が、独立派が支配するウクライナ東部2州を独立国として承認し、その後、間髪入れずにウクライナの軍事施設に対する攻撃を開始した。いずれも明白な国際法違反であり、ロシアに対する批判は免れない。ロシアに対する国際社会の非難の声は当然だが、どうも腑に落ちないことがある。なぜこのタイミングで、ロシアは国際社会全てを敵に回すような強硬策を取ったのかということだ。

続きを読む