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── Media Watchdog Group

合衆国政府の偽情報を無批判に拡散するマスメディアにはうんざりだ

 ロシアによるウクライナ侵略が「非常に近い」とか、プーチン大統領が「ウクライナ侵略を決断した」と「確信している」とか、あるいはロシアがウクライナ侵略の口実づくりのために「偽旗作戦(偽装作戦)」を準備しているとか。バイデン政権が証拠も無しに発表する不確かな情報をマスメディアが無批判に拡散し、ロシアによるウクライナ侵略が間近に迫っているかのような印象を与えている。最近になってマスメディアは、「情報戦」という言葉を用いて合衆国とロシアの攻防を説明するようになった。「情報戦」というと、敵対し合う双方が偽情報も交えながら、自らの都合の良い方向に世論を誘導しようとせめぎ合っているような印象を受けるが、マスメディアが米ロの情報戦で描く構図はそうではない。真偽不明の情報を流すのは、もっぱらロシア政府であり、対する合衆国は “機密情報” を公開してロシアの軍事行動を抑止しようとしているという設定だ。

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強制労働が行われていたという指摘は韓国の「誤った主張」という前提でニュースを伝えるNHK

 岸田政権が「佐渡島の金山」について、江戸時代までに限ってユネスコ世界文化遺産候補として推薦することを決めた。江戸時代までに限定したのは、アジア太平洋戦争中に佐渡金山でも朝鮮半島出身者に対する強制労働が行われていたため、国際社会でそれを批判されるのを避けたいという姑息な考えからだろう。これに対して韓国政府は、強制労働についての「十分な説明なしにユネスコ世界遺産に登録されることのないよう……断固とした対応を取っていく」と述べて(聯合21/12/28)、反対する立場を表明しているが、NHKは、強制労働の事実が韓国政府による「誤った主張」であるかのように伝えて、日本政府による歴史改竄に協力している。

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欧米は今度こそロシアの提案を受け入れ、軍事力に拠らない安全保障体制を目指すべきだ

 ウクライナ情勢を巡って欧米とロシアの協議が続いているが、互いに譲らず、双方の緊張が高止まりしている。自国にとって脅威となっている北大西洋条約機構NATO)の拡大停止などを求めるロシアに対して、欧米は譲らず、逆にロシアによるウクライナ侵攻を警戒して、ウクライナの軍備増強を図っている。合衆国や英国は、まともな証拠を示すこともなく、ロシアが「侵攻の口実を捏造」するための「工作員」をウクライナに送り込んで「偽旗作戦(偽装作戦)」を準備しているとか(ホワイトハウス22/1/14)、ロシアが親ロシア派の指導者をウクライナ政府に据えようと画策しているなどと主張し(英国外務省、22/1/22)、マスメディアも真偽を確かめずにそれらが事実であるかのように伝えて、ロシアによるウクライナ侵攻が間近に迫っているような印象を与えているが、ウクライナ情勢を巡る欧米とロシアの緊張緩和を目指すのであれば、簡単な解決策がある。それは、欧米がロシアの要求に応じてNATO拡大を停止することだ。

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難民の人権問題で批判されるべきは、ベラルーシではなくてEUだ

 西アジアなどからベラルーシを経由してEUへ向かう難民のことが問題になっている。今年夏以降、ベラルーシポーランドの国境で大勢の難民が足止めされたことに注目が集まった。ベラルーシを経由する難民の数は、EUが反政府デモやメディアへの弾圧を強めるベラルーシのルカシェンコ政権に対する制裁を科した頃から急増していることや、難民の多くがベラルーシのビザを所有していることから、欧米やマスメディアなどは、難民を利用したEUへの報復だと主張してベラルーシを非難している。

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ウクライナを巡る欧米との緊張緩和のためにNATO不拡大などを求めるロシアの提案は、受け入れられないものだろうか

 ウクライナ情勢を巡って、合衆国やEU諸国とロシアの緊張が高まっている。合衆国とEUはロシア軍がウクライナとの国境付近に大規模な軍隊を集結させていると言ってロシアを非難し、ロシアがウクライナを侵攻すれば「高い代償」を払わせると警告している。ロシア側は緊張を高めているのはロシアの周辺で軍事力を増強している北大西洋条約機構NATO)の方だと反論し、ウクライナなどへのNATOの拡大や旧ソ連圏での軍事展開をやめるよう要求している。どちらにも言い分があるだろうが、マスメディアにとって非があるのはロシアの方で、緊張緩和のためのロシア側の提案はほとんどまともに検討されていない。

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