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── Media Watchdog Group

ユン・ソンニョルの戒厳令宣言後の混乱で、日米韓の連携の弱体化を懸念するマスメディア

 日本政府やマスメディアは、対朝鮮政策を念頭に、韓国の戒厳令騒動が日米韓の連携に影響を与えるのではないかと心配している。

 例えば、NHKの政治部外務省キャップ瀧川学(ニュース7、24/12/14)は、韓国のユン・ソンニョル政権が交代するようなことがあれば、日米韓3か国の連携への「影響は避けられない」と指摘して、次のように説明する。

北朝鮮による挑発的な行動など、安全保障環境がより厳しくなる中で、日本としてもアメリカ、韓国との連携というのは、強化したいというのが、これ大前提なんですね。……ただアメリカも来年1月に政権が代わって、それから韓国もということになりますと、首脳間の信頼関係の構築というのは一からのスタートになります。特にこのユン大統領は北朝鮮に厳しい態度で臨んで、日米韓の連携を重視する姿勢を示していましたので、日本政府内には韓国の姿勢が転換することにならないか不安視する声があります。政府としては、今回の事態が日米韓3か国の安全保障協力のほころびにならないように、両国に働きかけていくことにしています」

 また朝日新聞編集委員の佐藤武嗣(24/12/16)は、

「韓国の尹錫悦大統領に対する弾劾訴追案が可決され、大統領の職務は停止に追い込まれた。昨年、厳しい安全保障環境を受けて団結が必要だと新設した『日米韓』の枠組みは、崩壊の危機に直面している」、
「尹氏が政権基盤を失えば、11月の米大統領選で、同盟軽視のトランプ前大統領の再登板に続き、『日米韓』が大きくきしむ」

などと述べた上で、

「3カ国連携を主導してきた米国で大統領が交代し、韓国で尹氏が退場すれば、日米韓の連携に神経をとがらせる中国のほか、北朝鮮やロシアにも好都合となる」

と主張している。

 しかし、ユン政権の発足以降の「日米韓3か国の安全保障協力」は、地域の平和と安定に役立ってきただろうか。
 米韓の「核協議グループ」の創設や日米の「拡大抑止」に関する閣僚会合の実施、それに日米韓3か国による共同軍事訓練の定例化など、ユン政権が発足した2022年以降、日米韓3か国は合衆国の核兵器を基盤とした軍事的な連携を強化してきた。しかし、そんな中でも朝鮮は弾道ミサイルの発射実験や訓練を繰り返し、核政策の法制化(2022年9月)や核兵器の量産化を図るなど、核戦力を整備して合衆国やその同盟国との戦争に備える姿勢を鮮明にするようになった。さらに朝鮮は、昨年末のキム・ジョンウン総書記の提案により、半世紀以上不変だった南北統一政策を撤回し、これまでは「同族」として和解の対象だった韓国を「敵国」として位置づける政策の大転換を行うなど、朝鮮半島の平和と非核化は遠のくばかりだ。

 朝鮮半島の非核化と地域の平和と安定を望むのであれば、北朝鮮はなぜ核・ミサイル開発を続けるのかということを考えてみるべきだろう。
 朝鮮戦争で合衆国に国土を完全に破壊され、その後も世界最大の軍事大国である合衆国の核兵器と侵略の脅威にさらされてきた朝鮮は、合衆国を「抑止」する目的で核兵器を開発した。朝鮮にとって核兵器弾道ミサイルは、朝鮮戦争の交戦国である合衆国による侵略や核の脅威から国土の安全を守り、自国の経済発展に集中するための手段である。
 米朝枠組み合意(1994年)や6か国共同声明(2005年)、シンガポール共同声明(2018年)など、朝鮮政府が核開発の中止や非核化に同意する際には必ず、朝鮮への不可侵や朝鮮半島の平和体制構築など、朝鮮の安全が担保されることを条件にしてきた。ハノイで行われた2019年の米朝首脳会談朝鮮半島の非核化に向けた協議が決裂して以降も、朝鮮政府は、対朝鮮敵視政策を撤回した合衆国政府との対話には応じる用意があることを、繰り返し表明している。朝鮮半島の非核化を平和的に実現し、地域の平和と安定を維持したいと考えるなら、まずは朝鮮に対する敵視姿勢を撤回し、朝鮮戦争終結と地域の平和体制の構築に向けて対話できる環境を整える必要があるだろう。

 核兵器と軍事力で平和や安定を維持できるという幻想は捨て去らなければならない。