Bark at Illusions Blog

── Media Watchdog Group

合衆国政府の言論弾圧に沈黙するマスメディア

 オスロノーベル平和賞受賞式で「表現の自由」が祝福された同じ日に、ロンドンでは英国の高等法院(高裁)がウィキリークス創設者であるジュリアン・アサンジの合衆国への送還を認める判決を出した。合衆国政府は同国の戦争犯罪などを公にしたアサンジを “スパイ容疑” などで起訴し、英国政府に対して彼の身柄引き渡しを要求していた。判決が出たその日はまた、権威主義から民主主義を守るための“民主主義サミット”が合衆国政府主催で開催されていた日でもあった。なんという偽善に満ちた世界に我々は住んでいるのだろうか。

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合衆国が先に制裁を解除すべきだというイランの要求は正当なものだ

 イラン核合意の正常化に向けた関係国の交渉が約5か月ぶりに再開した。イラン核合意は欧米の対イラン制裁解除と引き換えに、イランが核開発を大幅に制限する内容だが、合衆国のトランプ前政権が核合意から一方的に離脱して経済政策を復活させ、イランは対抗措置として核合意で定められた上限を超えるウラン濃縮を行うなど合意の履行を縮小させてきた。マスメディアは、イランに対して核開発の制限を守るよう要求する合衆国と、制裁の全面解除を求めるイランがお互いに譲らず、交渉が難航していると伝えている。それは間違いではないのだが、忘れてならないのは、核合意に違反しているのは、イランではなくて合衆国だということだ。

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個人的な恋愛関係の問題を人権問題にすり替えて北京オリンピックボイコットのキャンペーンに利用するのはやめろ

 中国の張高麗元副首相と自身との関係について告白した内容の文書をSNSソーシャルネットワーキングサービス)に投稿した中国のテニス選手、彭帥さんを巡って、中国政府や国際オリンピック委員会IOC)に対する批判が続いている。彭帥さんはSNSへの投稿後、消息不明になっているとマスメディアなどが一時伝えていたが、その後、北京市内のテニス大会の開会式に出席した様子などがツイッターで公開され、IOCトーマス・バッハ会長がテレビ電話で彭帥さんと面会したと発表するなど、彭帥さんの無事が確認された。しかし、マスメディアや人権団体、女子テニス協会WTA)などから、性暴力疑惑の調査を要求する声が上がっている。

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NHKが「脱炭素化に向けた取り組みを主導していく強い意志」を国内外に示したと解説する岸田文雄のCOP26の演説は化石賞

 岸田文雄総理大臣は、「気候変動という人類共通の課題」に日本が「総力を挙げて取り組」む「決意」を伝えるために、国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)の開催地、スコットランドグラスゴーを訪れ、演説した。

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中国軍機による台湾の防空識別圏飛行は、合衆国の対中政策に対する中国側の当然の反応

 今月に入って中国の戦闘機などが連日台湾の防空識別圏を飛行したことが、 “国際社会” やマスメディアの注目を集めた。4日間で延べ149機もの中国軍機が飛行したが、これは過去に例のない多さだという。今回の中国の軍事行動が台湾海峡の緊張を高める行為であることは間違いない。しかし台湾の防空識別圏が中国大陸の一部を含んでいるという滑稽さからもわかるように、防空識別圏は各国が一方的に宣言できるもので法的根拠はなく、仮に他国の航空機が飛行したとしても領空侵犯にはならない。また中国の行動の背景には、中国に対する軍事的圧力を強める合衆国やその “同盟国” の行動があるということを忘れてはならない。

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