ジャーナリストなら「徴用工」問題の基本的な事実を無視せず伝えろ
毎日新聞(19/7/11)に歴史修正主義者のコラムが掲載されている。国家公務員共済組合連合会理事長の松元崇氏は、かつて自身が社外取締役を務めた三菱マテリアルの株主総会で聞いた、「韓国の元徴用工の人たち」は日本の炭鉱で働いていたことを「誇りにしていた」という話を根拠に、「徴用工」問題は「事実とかけ離れた虚像」だと主張して、「事実を踏まえた歴史認識」に基づく日韓の対話を求めている。炭鉱で働いていたことを「誇り」にしている「元徴用工」の人がいたとしても、日本政府が大日本帝国時代に植民地の人々に対して強制労働をさせたという事実を否定することはできないのだから、松元氏こそ「事実を踏まえた歴史認識」が必要だが、人から聞いた話だけを根拠に松元氏が「徴用工」問題を否定するコラムを書くのは自由だ。否定できない事実をどれだけ並べても、合理的な判断をしない人間というのはいつの時代にもいるものだが、そんな彼らにも何かを言う権利はある。問題は、歴史に対して正直に向き合わなければならないマスメディアまでもが「徴用工」問題の基本的な事実を無視してニュースを伝え、韓国に対する日本政府の恥知らずな対応を支持していること。そしてその結果として、日本社会全体が日本政府や松元氏のような歴史修正主義者の主張が間違っているということに気づかずにいることだ。
続きを読む河野太郎曰く、日韓請求権協定で「個人の請求権が消滅したと申し上げるわけではございません」
日韓請求権協定で「個人の請求権が消滅したと申し上げるわけではございません」──。日本の外務大臣、河野太郎の昨年11月14日の衆議院外務委員会での答弁だ。国家間の条約で個人の請求権は消滅しないというのは国際的な共通認識であり、そのことは河野太郎に限らず、日本政府も認めてきた。しかし、それにもかかわらず日本政府は日韓請求権協定(1965年)で「徴用工」を巡る問題は解決済みだと主張し、河野太郎は「徴用工」問題で仲裁委員会の開催に求めに応じない韓国の駐日大使を呼びつけて、韓国大法院(最高裁)が日本企業に元「徴用工」への賠償を命じたことを念頭に、「国際法違反」の状況を是正するようにと恫喝した。そしてマスメディアは、またしても「徴用工」問題で最も重要で基本的な事実を伝えることを怠った。
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