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── Media Watchdog Group

日米首脳会談で米軍基地問題を議論しなかった安倍晋三、それを問題にしないマスメディア

 日米首脳会談で、「強固な日米同盟」を強調した安倍晋三。しかしその「日米同盟」の要である在日米軍基地の問題は会談で議題にはならなかったようだ。基地の存在に周辺住民は長年苦しめられており、日米地位協定の改定を求める声も強まっている。とりわけ沖縄で建設が進められている辺野古新基地に対する反対の民意が今年2月の県民投票で明確に示された後だけに、辺野古基地建設の問題くらいは首脳会談で議論されて然るべきだった。ゴルフや相撲観戦に興じる暇があるぐらいなら、日本政府が掲げる「強固な日米同盟」の負担を背負わされている人々に対する配慮も少しくらい示すべきではなかったか。

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何べんでも言うが、日韓請求権協定で「徴用工」問題は解決していない

 韓国大法院(最高裁)が日本企業に元「徴用工」への賠償を命じた問題で、日本政府は韓国政府に対して第三国を交えた仲裁委員会を設置するよう要請した。日本政府は日韓請求権協定で問題は解決済みだと主張して韓国政府に問題解決の責任を押し付けているわけだが、個人による請求権は国家間の条約で消滅しない。しかも日韓請求権協定で日本政府が韓国側に対してとった措置は、被害者に対する賠償ではなく、経済協力だった。今問題になっているのは、日本の帝国時代に強制労働をさせられた被害者が未だに救済されていないということであり、問題解決の責任は、言うまでもなく、加害者側の日本政府と日本企業にある。

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ジャーナリズムの程度が知れる マスメディアのジュリアン・アサンジ逮捕の伝え方

 米軍の戦争犯罪の証拠など市民社会に有益な情報をリークしてきたウィキリークスの創設者・ジュリアン・アサンジが英国警察に逮捕された。合衆国に送還されれば拷問や終身刑を受ける可能性のあるアサンジに亡命を認めていたエクアドル政府は、彼を保護していた在英国大使館内に英国警察を招き入れ、英国警察がアサンジを大使館外に引きずり出して逮捕した。これは政治亡命者保護の国際的な原則に反する。また7年に及ぶアサンジの在英国エクアドル大使館での恣意的拘禁[i] や今回の逮捕は、報道の自由に対する明白な侵害だ。しかしマスメディアはこれらの国際法違反や弾圧に対してほとんど無批判で、あろうことか政府や捜査当局の立場から事件の基本事実を伝え、権力者によるウィキリークスの弾圧に正当性があるかのような印象を与えている。

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マスメディアは朝鮮半島の平和と非核化に対する合衆国政府の姿勢を問え

 ベトナムハノイで行われた2回目の米朝首脳会談で合意文書への署名が見送られたのは、合衆国側の強硬路線への回帰が原因であることが明らかになってきた。また会談の数日前にスペインにある朝鮮大使館が襲撃された事件では、「自由朝鮮」と名乗る組織が犯行声明を発表し、大使館から略奪した情報を合衆国の連邦捜査局(FBI)に提供したと認めている。こうした情報から判断するなら、停滞する交渉を再び軌道に乗せるためには、合衆国政府の姿勢を正すのが妥当であると考えられるが、偏見に満ちた日本のマスメディアは合衆国政府の方針を支持し、朝鮮に対する制裁の重要性を強調する傾向にある。

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「北朝鮮の非核化」を求めるなら、朝鮮半島の平和についても語れ

 朝鮮半島の平和と非核化を巡る米朝間の交渉で、マスメディアが問題にするのは常に「北朝鮮の非核化」だ。2月にベトナムで行われた米朝首脳会談を伝えるニュースでも、ほとんどのマスメディアは「北朝鮮の核」だけに注目し、在韓米軍の核や朝鮮半島の平和の問題については全くといっていいほど関心を示していなかった。しかし朝鮮半島の核を巡るこれまでの合衆国と朝鮮の合意は全て「朝鮮半島の核」を対象にしており、それは朝鮮半島の平和とセットだ。「北朝鮮の非核化」だけを問題にしている時点で、そのメディアは偏向しているということになる。

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