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── Media Watchdog Group

安倍晋三は我々のリーダーではない

 安倍晋三の総理大臣在職日数が歴代最長となり、マスメディアでは安倍政権の検証が行われている。経済政策や外交、安全保障政策、社会保障政策、それに「森友・加計」問題や「桜を見る会」を巡る政治スキャンダル等々、様々な側面が語られているが、最大の問題は安倍政権には庶民のための政治を行う意思がないという事だ。

 「世界で一番企業が活躍しやすい国を目指す」というのが、安倍政権のスローガンのひとつだった。その言葉通り、安倍政権は企業への大減税を行い、代わりに消費税を増税、年金や生活保護を削減し、医療や介護費用の負担を増やすなど、庶民には負担増を強いてきた。大企業が利益を上げる一方で、一般庶民が好景気を実感できないというのは、当然の結果だ。「アベノミクス」で積み上がった莫大な大企業の内部留保の活用を、安倍政権がようやく考え出したかと思えば、その方法はベンチャー企業に投資した大企業に対して法人税を減税するというもので、またしても企業減税だ。
 他にも、安倍政権は大企業の利益追求のために食料主権や地域経済を脅かすTPP11を締結し、労働政策では「働き方改革」と称して企業が労働者を過労死ラインまで働かせることを合法化する法律を成立させた。
 安倍晋三は大企業のための政治を行うために総理大臣をやっているのであって、我々一般庶民のリーダーではない。彼に政治を任せておいて、庶民の生活がよくなるわけがない。

 とは言え、自民党の総裁交代や政権交代で事態が改善すると期待することもできない。彼らは権力闘争に夢中になっているだけで、庶民の生活のことなど二の次だ。人気が取れそうだと判断した時にだけ、彼らは庶民の立場に立っているようなポーズをとる。だから立憲民主党安住淳は、「桜を見る会」の追求を「徹底的にやらせていただきます」と述べる一方で、政治スキャンダルの追求を優先するという理由で、協定の正確な内容も日本経済や農業への影響もわからないまま(政府はそのための必要な資料を提出することを拒否している)、日米貿易協定承認案の衆議院での採決の日程で自民党と合意している(毎日19//11/14)。

 確かに、当初は庶民のための政治を志して政治家になった人も少なくないだろう。その初志を貫こうとしている政治家もいる。しかしそんな彼らも、庶民が政治に関心を示さなければ、積極的に政治に関与する大企業などの声を聴かざるを得ない。政治を他人に任せておいて、庶民のための政治が行われるはずがない。
 必要なのは大企業のリーダーではなく我々のリーダーだが、それ以上に、我々自身がリーダーになって政治家を率いていく必要がある。