Bark at Illusions Blog

── Media Watchdog Group

マスメディアは日本の「加害者」としての「戦争の記憶」にも焦点を当てるべきだ

戦争体験を語れる人が少なくなる中、「戦争の記憶」をどのように継承していくかという課題が、マスメディアでも取り上げられることがある。しかし日本のマスメディアが注目するのは、日本の「犠牲者」としての記憶ばかりだ。

世界的なワクチンの供給不足は資本主義社会の失敗

デルタ型の変異株の影響で新形コロナウィルスの感染者数が世界中で急増する中、200人以上の科学者や市民社会グループが、バイデン政権への公開書簡で「ワクチンの生産と供給を早急に拡大しなければ、さらに何百万人もの人々が感染し、命を落とすことになる」…

「自由で開かれたインド太平洋」で、日本は東アジアの平和と発展を損ねる愚を繰り返すのか

日本政府がアジア太平洋からアフリカに至る地域で「ルールに基づく国際秩序」を構築し、「法の支配」や「航行の自由」といった原則を定着させるために提唱したという「自由で開かれたインド太平洋」構想。ニュースウオッチ9(21/6/30)は、この構想立案の「…

最低賃金 マスメディアは労働者の生計費にもっと焦点を当てるべきだ

厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会は、今年度の地域別最低賃金額について、全国加重平均で28円増の時給930円を目安とすることを決めた。28円の上げ幅は1978年の目安制度導入以降で最大だそうだが、労働者が憲法で保障された「健康で文化的な最低限度…

医療費を巡る不適切な対立構図で世論をミスリードするマスメディア

高齢者の医療費の窓口負担を1割から2割に増やす「医療制度改革関連法」が成立した。日本政府は「現役世代」の負担軽減のためだと言うが、労働者1人当たりの保険料負担額は月平均で33円しか軽減されず、負担が増える高齢者の受診控えなども予測できることな…

マスメディアはG7の価値観を疑え

英国のコーンウォールで開催された今年のG7サミットは、合衆国のジョー・バイデン大統領が中心となって中国を念頭に民主主義国の結束を演出し、共同宣言で東シナ海や南シナ海、台湾、香港、中国の人権問題などに言及して中国を牽制した。共同宣言では中低所…

国際社会はイスラエルによるパレスチナ占領を一刻も早く終わらせなければならない

ハマスとイスラエルがエジプトとカタールの仲介で停戦に合意し、11日間に及んだ双方による軍事攻撃の応酬はようやく収まった。しかし停戦が成立したと言っても、それはとても不安定なもので、イスラエルによるパレスチナ占領という根源的な問題を解決しない…

確かに、温室効果ガス削減目標をどのように実現するかということが重要ではあるけれども……

合衆国政府の主催で行われた気候変動会議に合わせて、日本政府は2030年までに達成する温室効果ガスの削減目標を発表した。2013年度比で46%削減し、「さらに50%の高みに向けて挑戦」するそうだ。これまで掲げてきた数値を大幅に上回る目標だが、世界の平均気…

加害者や被害者の国籍によってマスメディアの人権に対する関心は変わるのか

大日本帝国時代の性奴隷被害者らが日本政府に対して損害賠償を求めた第二次訴訟で、韓国ソウル中央地裁は、日本政府が主張する「主権免除」を認め、原告の請求を却下した。日本では「主権免除」という国際慣習法を適用した今回の判決は「世界の常識に合致し…

日本と合衆国の言動が「台湾海峡の平和と安定」を脅かしている

今月16日に行われた日米首脳会談の共同声明で、菅義偉総理大臣とジョー・バイデン大統領は、台湾について言及した。これは1969年以来のことで、日中国交正常化以降初めてのことだという。共同声明で、日米両政府は「経済的なもの及び他の方法による威圧の行…

マスメディアはなぜ国際社会が求める知的所有権の一時放棄に反対している合衆国や日本政府を問題にしないのか

日本でもようやく一般向けの新型コロナウィルスワクチンの接種が始まった。日本のワクチン接種は欧米や中国などに比べて遅れを取っていることから、「国産ワクチンの遅れ 中長期的な戦略が必要だ」(毎日、21/4/8、社説)、「ワクチン確保 中長期見据えた戦…

トリチウム汚染水についての「国民の理解」が広がれば……

東京電力福島第1原子力発電所でたまり続けるトリチウムを含む放射能汚染水の処理について、日本政府は希釈して海に放出する方針を固めた。東電や国家の負担軽減を最優先に考えた結果だろう。放射性物質トリチウムについては人体に有害な影響を与える科学的…

朝鮮半島を非核化するには、合衆国の対朝鮮敵視政策の撤回が必要だ

巡航ミサイルに戦術誘導ミサイル。朝鮮が立て続けにミサイル実験を行った。マスメディアは、その直前まで行われていた米韓合同軍事演習については、同じように朝鮮半島の緊張を高める行為であるにもかかわらず全く問題にしなかったくせに、朝鮮のミサイル実…

ルールに基づく世界の秩序を脅かしているのは合衆国だ

合衆国のバイデン新政権が、中国に対する強硬姿勢を鮮明にしている。今月3日に公表した「国家安全保障戦略暫定指針」では、「中国は、安定し開かれた国際システムに継続的に挑戦するために経済・外交・軍事・技術力を結合する潜在的能力のある唯一の競争相手…

NHKは国際法やイラン核合意を理解しているのか

イラクに駐留する米軍基地が攻撃された報復措置として、合衆国政府は先月25日、シリア東部にある民兵組織の施設を空爆した。国連安保理の承認もなく、差し迫った軍事的脅威のない状況での軍事力行使は国際法違反だが、NHKニュース7(21/2/27)は、イラン核合…

核合意を離脱した合衆国に、イランに対して条件を付ける資格はない

イラン核合意を破ってイランに対する経済制裁を続ける合衆国への新たな対抗措置として、イランは核合意で求められている国際原子力機関(IAEA)の追加議定書の履行を停止した。これによって、イランに対するIAEAの抜き打ち検査ができなくなる。IAEAとイラン…

日韓関係 問題は司法に対する認識の違いではなく、人権に対する認識の違いではないか

毎日新聞論説委員・澤田克己(毎日21/2/18)は、「[司法判断と日韓関係]認識差、冷静に直視を」と題する論説記事で、日本政府に対して大日本帝国時代の性奴隷被害者への賠償を命じた今年1月のソウル中央地裁の判決が、「国家は他国の裁判所に裁かれない」…

米軍が存在する限り、地域の平和と安定は訪れない

菅義偉総理大臣は、合衆国の大統領に就任したジョー・バイデン大統領と電話で会談し、 “日米同盟” を「一層強化」することや、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて「緊密に連携」することなどで一致し、中国や台湾との係争地である尖閣諸島におけ…

日韓関係改善のためにムン・ジェインに行動を要求するマスメディアの常識を疑う

大日本帝国時代の強制労働被害者に関する韓国のムン・ジェイン大統領の年頭記者会見での発言に、日本政府やマスメディアが注目している。会見でムン・ジェインが、「徴用工」訴訟で差し押さえられている被告日本企業の資産が「強制執行」によって「現金化」…

ソウル中央地裁の画期的な判決を不当扱いする日本政府とマスメディア

大日本帝国時代の日本軍性奴隷制度の被害者が日本政府に対して損害賠償を求めていた裁判で、韓国のソウル中央地裁は原告の訴えを認め、日本政府に賠償を命じた。日本政府の損害賠償責任を初めて認めた画期的な判決は、人権を重視する市民感覚からすると極め…

暴力による民主主義の破壊は、合衆国政府がこれまでずっと国外でやってきたことだ

合衆国の大統領選挙に勝ったのはドナルド・トランプだと信じて疑わないトランプ支持者たちが連邦国議会に乱入し占拠した事件に対して、驚きや憤りの声が広がっている。

イラン核合意を維持したいなら、合衆国がイランに対する制裁を解除すればいいだけの話だ

合衆国のトランプ政権によるイラン核合意離脱と対イラン制裁復活への対抗措置として、これまで核合意の履行を段階的に縮小させてきたイラン政府だが、今度はウラン濃縮度を20%まで高める作業を開始したと発表した。マスメディアはイラン核合意からの大きな…

米軍戦闘機の低空飛行訓練の問題で、ニュースウオッチ9が伝えたのは住民の不安を解消するために努力する米軍の姿

ニュースウオッチ9(20/12/8)は在日米軍の戦闘機が中国地方や四国地方などの市街地上空で頻繁に低空飛行訓練を行っている問題を取り上げた。米軍の戦闘機の目撃情報が相次ぐ島根県浜田市のこども園や、高知県本山町の町長などを取材している。しかし米軍の…

それを根拠に尖閣諸島が日本の領土だというには無理がある

先月行われた日中外相会談後の共同記者会見で、中国の王毅外相が「日本の漁船が絶え間なく釣魚島(尖閣諸島)の周辺の敏感な水域に入っている。これに対して中国側としてはやむを得ず必要な反応をしなければならない」と述べたことについて、毎日新聞の特別…

「現役世代」の負担も高齢者の負担も増やさずに社会保障制度を維持する方法はある

政府は75歳以上の医療費の窓口負担について、年収200万円以上の人を対象に、1割から2割へと増やす方針を固めた。「現役世代」の負担軽減のために高齢者も能力に応じた負担が必要だという政府の主張を無批判に繰り返すマスメディアのニュースを見ていると、社…

種苗法の改定で日本の優良品種の海外流出を防ぐことができるというのは嘘だ

改定種苗法が成立した。登録品種の自家増殖が許諾制となり、農家の自家増殖の権利が著しく制限されることになる。改定法に関する政府の説明は嘘ばかりで、立法事実も破綻するなど問題だらけだが、マスメディアは追及を怠り、逆に日本産の優良品種を守るため…

尖閣諸島が係争地であるという事実を無視するマスメディア

尖閣諸島は係争地であり、日本と中国は尖閣諸島の領土問題を棚上げすることで国交を正常化させた。尖閣諸島の問題を語る時、マスメディアは、この根本的な事実を無視してニュースを伝え、尖閣諸島は「歴史的にも国際法上も日本の領土」だとか、尖閣諸島に「…

高齢者への負担を増やすしか選択肢はないのか

「全世代型社会保障改革」の名のもとに、日本政府は75歳以上の高齢者の医療費の窓口負担を増やそうとしている。増え続ける社会保障費の抑制や、高齢者の医療費を支えるための拠出金を負担する「現役世代」の負担軽減のために、「能力に応じた負担をいただく…

地域の平和と安定を脅かす「自由で開かれたインド太平洋」構想

菅義偉総理大臣が先月、就任後最初の外国訪問先として東南アジア諸国連合(ASEAN)の2か国、ベトナムとインドネシアを訪れた。「ASEANは日本が推進している自由で開かれたインド太平洋の実現に極めて重要なパートナー」であり、この「地域の平和と繁栄のため…

菅義偉、ニュースウオッチ9で言いたい放題

NHKのニュースウオッチ9(20/10/26)に出演した菅義偉総理大臣は、日本学術会議の会員人事で政府に批判的な立場の6名の会員候補者の任命を拒否している問題について、言いたい放題、持論を展開した。