公共放送としての役割を怠り、検察官の定年延長問題で世論をミスリードするNHK
安倍政権が東京高等検察庁の黒川弘務検事長の定年を延長したことが問題になっている。検察庁法では検察官の定年延長について規定がないため、安倍政権は国家公務員法を根拠に黒川弘務の定年延長を閣議決定したが(1月31日)、国家公務員法の定年延長の規定は検察官には適用されないというのがこれまでの政府の見解だった。政府が法解釈を変更した経緯についての法務大臣らの答弁も滅茶苦茶で、法解釈変更の正当性が問題視されている。しかし「健全な民主主義の発展と文化の向上に役立つ、豊かで良い放送を行うことを使命としてい」る(『NHK倫理・行動憲章』)はずのNHKは、この問題について十分に説明することを怠っている。
続きを読む問題を棚上げにするなら、いくら意思疎通を活発化させても、本当の意味で日韓関係を改善することはできない
ニュースウオッチ9(20/1/15)は2020年の世界を展望するシリーズ番組のひとつとして、日韓関係についての特集を放送した。日本のマスメディアが「徴用工」問題に言及する時はいつもそうだが、この番組も問題解決の責任は韓国政府にあるという前提に立っており、日韓関係改善のための本当の解決策を知ろうとするなら、この時点でこの番組を見る価値はない。日本政府も認めている通り(例えば当時外務大臣だった河野太郎の2018年11月14日の衆議院外務委員会での答弁)、日韓請求権協定で個人の請求権は消滅していないのだから、未解決である大日本帝国時代の強制労働の問題を解決する責任が加害者である日本政府や日本企業にあることは、人道的観点からだけでなく、国際法の観点から見ても明らかだからだ。しかし解説に当たったNHKソウル支局長の高野洋は、これまでの日韓関係について的確な指摘をしている。ただし、いくらか補足説明が必要であり、本当の意味で日韓関係を改善するためには、導き出される結論も違ってくるけれども……。
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