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── Media Watchdog Group

公共放送としての役割を怠り、検察官の定年延長問題で世論をミスリードするNHK

 安倍政権が東京高等検察庁の黒川弘務検事長の定年を延長したことが問題になっている。検察庁法では検察官の定年延長について規定がないため、安倍政権は国家公務員法を根拠に黒川弘務の定年延長を閣議決定したが(1月31日)、国家公務員法の定年延長の規定は検察官には適用されないというのがこれまでの政府の見解だった。政府が法解釈を変更した経緯についての法務大臣らの答弁も滅茶苦茶で、法解釈変更の正当性が問題視されている。しかし「健全な民主主義の発展と文化の向上に役立つ、豊かで良い放送を行うことを使命としてい」る(『NHK倫理・行動憲章』)はずのNHKは、この問題について十分に説明することを怠っている。

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どんなに疑惑が深まっても、NHKを見れば正しいのはいつも安倍晋三

 桜を見る会の前日に開かれた安倍晋三の後援会主催の夕食会について、会場となったホテルに対する野党議員の調査で、安倍晋三が国会で虚偽答弁を繰り返していた可能性が高まり、安倍晋三公職選挙法違反あるいは政治資金規正法違反の疑いが一層深まった。ところが公共放送を自負するNHKは、安倍晋三にとって都合の悪い事実を極力省略し、安倍晋三菅義偉官房長官の国会答弁に疑義を呈することもなく、安倍晋三が既に自身の疑惑に対する説明責任を果たしてしまっているかのような印象を与えている。

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世界の平和を脅かす日米同盟を、安全保障の基軸として絶対視するマスメディア

 日米安全保障条約改定から60年が経過したことを機に、マスメディアは「日米同盟」に関する多くの論説記事やインタビュー記事を掲載している。憲法第9条との整合性や「アメリカ第一主義」を前面に押し出すトランプ政権への懸念、あるいは日米地位協定や沖縄の米軍基地の問題を指摘しているものもあるが、共通しているのは「日米同盟」を日本の安全保障の基軸として絶対視していることだ。

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マスメディアが否定する制裁緩和こそが、朝鮮半島を非核化するためには必要だ

 朝鮮のキム・ジョンウン委員長が合衆国政府の「勇断」を「忍耐強く」待つのは昨年末までだと宣言していたことや、その年末に開かれた朝鮮労働党中央委員会総会でキム・ジョンウンが「守ってくれる相手方もいない公約に我々がこれ以上、一方的に縛られる根拠はなくなった」などと述べたことなどから、朝鮮半島の平和と非核化を巡る米朝交渉の今後の行方が懸念されている。マスメディアは非核化や米朝交渉に対する朝鮮政府の姿勢を疑い、合衆国のドナルド・トランプ大統領に対して朝鮮との交渉で「安易な妥協」を行わないよう求めているが、朝鮮半島の非核化を実現するためにはその「安易な妥協」こそが、求められている。

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問題を棚上げにするなら、いくら意思疎通を活発化させても、本当の意味で日韓関係を改善することはできない

 ニュースウオッチ9(20/1/15)は2020年の世界を展望するシリーズ番組のひとつとして、日韓関係についての特集を放送した。日本のマスメディアが「徴用工」問題に言及する時はいつもそうだが、この番組も問題解決の責任は韓国政府にあるという前提に立っており、日韓関係改善のための本当の解決策を知ろうとするなら、この時点でこの番組を見る価値はない。日本政府も認めている通り(例えば当時外務大臣だった河野太郎の2018年11月14日の衆議院外務委員会での答弁)、日韓請求権協定で個人の請求権は消滅していないのだから、未解決である大日本帝国時代の強制労働の問題を解決する責任が加害者である日本政府や日本企業にあることは、人道的観点からだけでなく、国際法の観点から見ても明らかだからだ。しかし解説に当たったNHKソウル支局長の高野洋は、これまでの日韓関係について的確な指摘をしている。ただし、いくらか補足説明が必要であり、本当の意味で日韓関係を改善するためには、導き出される結論も違ってくるけれども……。

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