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── Media Watchdog Group

河野太郎曰く、日韓請求権協定で「個人の請求権が消滅したと申し上げるわけではございません」

 日韓請求権協定で「個人の請求権が消滅したと申し上げるわけではございません」──。日本の外務大臣河野太郎の昨年11月14日の衆議院外務委員会での答弁だ。国家間の条約で個人の請求権は消滅しないというのは国際的な共通認識であり、そのことは河野太郎に限らず、日本政府も認めてきた。しかし、それにもかかわらず日本政府は日韓請求権協定(1965年)で「徴用工」を巡る問題は解決済みだと主張し、河野太郎は「徴用工」問題で仲裁委員会の開催に求めに応じない韓国の駐日大使を呼びつけて、韓国大法院(最高裁)が日本企業に元「徴用工」への賠償を命じたことを念頭に、「国際法違反」の状況を是正するようにと恫喝した。そしてマスメディアは、またしても「徴用工」問題で最も重要で基本的な事実を伝えることを怠った。

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「増税やむなしの空気」を作り上げてきたマスメディア

 毎日新聞(19/7/3夕刊)は、消費が落ち込むのを承知で消費税増税に踏み切ろうとしている日本社会を、合理性に優越して日本人の判断を拘束するといわれる「空気の支配」について山本七平が論じた際に例に挙げた戦艦大和の無謀な出撃に擬え、現在の日本人は「増税やむなしの空気」に支配されていると危惧する批評家のコラムを紹介している。
 「増税やむなしの空気」──。ここで問題にしたいのは、このコラムのことではなくて、そのような「空気」を創り出してきたのがマスメディアだということだ。

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「日米同盟」破棄がトランプへの答えだ

 合衆国のドナルド・トランプ大統領が、日米安全保障条約は合衆国が一方的に義務を負う「不公平」なものだと主張して、その見直しに言及した。日本政府やマスメディアは、日米安保条約は片務的なものではないと反論し、「日米同盟」の重要性を強調しているが、これを機に、「日米同盟」が本当に日本や東アジアの平和と安定に役立っているのかどうか、考えてみるべきではないだろうか。

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合衆国による宇宙の軍事力強化は中国やロシアへの対抗措置だというプロパガンダに騙されるな

 NHKニュース7(19/6//23)は、合衆国が「中国やロシアに対抗」して「宇宙での軍事力強化」を進めており、宇宙での軍拡競争の懸念が強まっていると伝えている。ニュース7は、合衆国による宇宙の軍拡は中国やロシアへの対抗措置だと主張する合衆国政府の見解を、検証することなく無批判に伝えているが、中国とロシアを含む国際社会の声に反して宇宙の軍事化を進めてきたのは、合衆国だ。宇宙の軍拡競争を懸念するなら、合衆国の軍事政策と、「日米同盟」の強化でその補完を図る日本政府を批判しなければならない。

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年金問題でNHKは公共放送としての責任を果たせ

 金融庁の審議会の報告書で老後2000万円の資産が必要だという試算が行われていたことが発端となり、老後の生活への不安がクローズアップされている。政府は報告書の内容は国民に「誤解」を与えるとか「不適切」だと言って報告書の受け取りを拒否して議論を避けているが、多くの人が年金だけでは暮らせないことは事実だ。来月には参議院選挙も控えており、年金問題は重要な争点の一つになるだろう。NHKが公共放送だというなら、それにふさわしい責任ある放送を求めたい。

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