Bark at Illusions Blog

── Media Watchdog Group

マスメディアは朝鮮政府の主張にも耳を傾けるべきだ

 ベトナムハノイで開催された2回目の米朝首脳会談で、両首脳は朝鮮半島の平和と非核化に向けて具体的な成果を上げることができなかった。マスメディアの多くは合衆国側の主張をそのまま真実として受け入れ、合意に至らなかったのは朝鮮政府が一部の核施設の廃棄だけで、完全な制裁解除──あるいは事実上、完全な制裁解除──を要求したからだと説明して、会談が物別れに終わった責任の大部分を朝鮮側に押し付けている(実務レベルでの協議を省いて首脳同士で解決を図る「トップダウン方式」の外交の限界や、「安易な妥協」をしたと批判されることを恐れたトランプが朝鮮に譲歩できなかったということを指摘しているものも多数あるが、いずれも朝鮮側が最小限の非核化で最大限の「見返り」を得ようとしたということが前提になっている)。マスメディアが合衆国に好意的な世論を創り出すためのPR(=プロパガンダ)機関ならそれでいいかもしれないが、真実を追及することがマスメディアの仕事であるならば、朝鮮側の主張にも真剣に耳を傾けるべきだ。

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報道機関への弾圧に抗おうとしないマスメディア

 東京新聞の望月衣塑子記者の質問を「事実誤認」だとか「問題行為」と決めつけて「問題意識の共有」を記者クラブに要請した首相官邸に対して、日本新聞労働組合連合新聞労連)が2月5日に抗議声明を発表して以来、安倍政権に対する反発が広がっている。しかし報道機関の萎縮を懸念するメディア関係の労働組合や弁護士・市民らが抗議の声を上げる一方で、マスメディアの報道からは、言論統制を試みる独裁的な政権に対して抗おうとする姿勢が感じられない。

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おい、マスメディア 韓国の国会議長はなぜ謝罪する必要があるんや

 韓国のムン・ヒサン国会議長が日本の総理大臣や天皇に対して性奴隷の被害者(元「慰安婦」)への謝罪を求めたことに日本政府は憤慨し、発言の撤回と謝罪を求めている。マスメディアも日本政府と一緒になってムン・ヒサンを非難し、「知日派」の韓国国会議長の発言で日韓関係がさらに悪化するのではないかと懸念している。しかしムン・ヒサンの発言は正しい。日韓関係悪化を本当に避けたければ、ムンの言う通り、日本政府が帝国時代の犯罪を認めて謝罪することだ。

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NHKは米朝首脳会談の合意文書を読んでいるのか

 2回目の米朝首脳会談が今月27日と28日の2日間にわたってベトナムハノイで開催されることが決まった。マスメディアは朝鮮半島の平和と非核化へ向けた米朝間の交渉について、相変わらず世論をミスリードしている。例えばNHKニュース7(19/2/2)は、昨年6月に行われた1回目の米朝首脳会談での合意文書を読んでいるのかと疑いたくなるような内容だった。

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TPPはトランプの保護主義に対抗する新たな枠組みになるとマスメディアは言うけれど

 合衆国を除く11カ国による環太平洋パートナーシップ協定(TPP11)が、昨年12月30日に発効した。マスメディアは関税の撤廃による消費者への恩恵を強調したり、合衆国の保護主義に対抗する‟自由貿易” の新たな枠組みになると主張して、TPPの意義をPRしている。しかしTPPは世界規模で活動する大企業が大企業のために創ったルールであり、‟自由貿易” と言いながら大企業の利益を守るための保護主義的な条項も含まれている。自らが大企業であるマスメディアからのプロパガンダに乗せられ、輸入品が安く買えるようになると言って喜んでばかりはいられない。

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