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── Media Watchdog Group

白紙領収書問題:閣僚のときと地方議会議長のとき ニュースとしての扱われ方を比較する

 ニュースウォッチ9NHK、16/11/28)は、宮城県議会の前議長が白紙の領収書を受け取り、実際より多い金額を記入して政務活動費を受け取っていた問題を報道した。今回の報道と、今年10月の閣僚の白紙領収書問題についてのニュースウォッチ9の伝え方を比較してみる。

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「年金制度改革法案」への国民の理解を得ようと努力するNHK

 政府が今国会での成立を目指す「年金制度改革法案」が、11月25日、衆議院厚生労働委員会で可決された。NHKニュース7ニュースウォッチ9は、マス・メディアでよく使われる言葉で表現すれば、法案への「国民の理解」を得ようと努力している。別の言い方をすれば、法案に賛成する──少なくとも反対しない──世論を作り出そうとしている。

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TPP:国民に十分な情報を提供しないNHK

 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の承認を求める議案とその関連法案が、11月4日に衆議院の特別委員会で、10日に本会議で強行採決された。「この臨時国会で最大の焦点」(ニュースウォッチ9、16/11/4鈴木奈穂子)であり、「この国や国民の将来にとって非常に重要なテーマ」(同、河野憲治)だったTPPについて、NHKニュース7ニュースウォッチ9は、十分な情報を国民に伝えなかった。 

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地球温暖化対策に消極的な日本政府から目をそらすニュースウォッチ9

 地球温暖化対策の国際ルール、「パリ協定」が11月4日に発効した。ニュースウォッチ9NHK 16/11/4)は、パリ協定の概要と、今後経済成長の見込まれるアフリカのエネルギー事情について伝えているが、地球温暖化に対する日本政府の姿勢についてミスリードする内容だった。

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政治献金 ニュース7が注目するのは、TPPで大打撃の養豚業界による献金

 総務省が11月27日に公表した政治資金収支報告書で明らかになった2014年の個人や企業・団体からの政治献金ニュース7NHK、15/11/27)は、「与党に税制優遇を求める企業やTPP対策を求める農業関連団体からのものなどが目立って」いるとして、「消費税が8%に増税された中、住宅を購入する際の税制の優遇などを促す目的があった」7社の住宅メーカーによる献金と、「TPPへの対策などに要望を聞き入れてもらおうと政治献金をする」養豚業界に言及している。

 特に養豚業界については、日本養豚政治連盟(豚政連)が昨年約1200万円を献金し、「TPP関連政策大綱」で、「豚肉の関税は将来的に大幅に引き下げられることに」なったものの「政府は生産者が赤字経営になった場合に国費などで補てんする割合を引き上げるとしました」と紹介。「我々が要請、お願いしていたことがかなり認められた」という豚政連会長へのインタビューも紹介している。

 なるほど、消費税増税やTPPの大筋合意を受けて、住宅メーカーや養豚業界の献金については注目すべきかもしれない。しかし、原発再稼働、軍需品の開発・輸出、法人税実効税率の引き下げも2014年から今年にかけて安倍政権が進めてきた大きな政策だ。

 原発については、電力会社や原子力関連企業などでつくる「日本原子力産業協会」の会員企業が2014年に、少なくとも7億1000万円を自民党政治資金団体国民政治協会」に献金している(赤旗、15/11/28)。政府は、避難計画や原子力規制委の安全基準が疑問視されているにもかかわらず、国民の反対世論を押し切って今年8月に川内原発を再稼働させた。また、技術的・経済的に問題視されている核燃料サイクル事業についても推進する方針だ。

 軍需関連については、武器などを開発・生産する軍需産業の主要企業が2014年、国民政治協会に少なくとも1億7000万円を献金している(赤旗、15/11/29)。政府は昨年4月、武器輸出三原則を撤廃して武器輸出を解禁し、今年10月には装備品の輸出や研究開発などを管理する防衛装備庁を発足させた。

 法人実効税率は、経団連がその引き下げを求めてきたが、2014年の経団連加盟企業・団体からの自民党政治資金団体への献金は18億7400万円に上る(日経、15/11/28)。政府は昨年、法人実効税率を15年度は32.11%、16年度は31.33%以下に引き下げることを決定していたが、来年度から20%台にするという方針が固まったことを11月27日付の日経が伝えている。経団連は、法人税実効税率の引き下げだけではなく、上に挙げたすべての政策(原発再稼働、軍需品の開発・輸出、消費税増税、TPP締結)も求めてきた。

 ニュース7は、経団連会長が昨年、政党への献金を行うよう呼びかけていたことや、経団連会員企業が国民政治協会に約14億5000万円を献金していたことなどには触れてはいるが、豚政連のときとは違って、経団連のこれらの要望について言及しないため、視聴者は、経団連などによる献金と政府の進める政策とつながりに気付くことができない。また、消費税やTPP、特にTPPについては失うものが大きい養豚業界ではなく、経団連を「要望を聞き入れてもらおうと政治献金をする団体」として紹介すべきだっただろう。

 日経(15/11/28)は、「全体の企業献金のうち自民党向けは9割にのぼる」ことや武器輸出の解禁や法人実効税率の引き下げが経団連の求めていた政策だったことなどを指摘して政治と企業の癒着を批判し、政党助成制度が企業・団体献金を禁止する見返りに構想されたことを喚起している。毎日(15/11/28)も企業・団体献金は健全な民主主義をゆがめる恐れがあると警鐘を鳴らす。

 しかし、ニュース7は、大企業と政治の癒着に対する危惧よりも、国会決議で守られるはずだった豚肉の関税をTPPによって限りなく関税撤廃の水準にまで引き下げられる養豚業界が、それに対するわずかな保護措置を勝ち取ったことを視聴者に伝えたかったようだ。

「夢の原子炉が夢のまま」-高速増殖炉もんじゅ 問われているのは核燃サイクルの政策そのものだ

 11月13日、原子力規制委員会は、高速増殖原型炉もんじゅの運営主体を日本原子力研究開発機構からかえるよう、所管する文部科学省に勧告した。

  NHKニュース7(13/11/13)は、

「・・・1兆円以上の事業費が使われてきた高速増殖炉もんじゅ、使った以上の燃料を生み出すことから、夢の原子炉と言われてきました。しかし運営主体の体質が問われる事態が繰り返し起きてきました」

と言って、ナトリウム漏れ事故の際の現場の映像を隠した旧動燃の隠ぺい体質や、試験運転中に原子炉内に装置が落下して運転が停止して以降、点検漏れなどの問題が相次いでいることを紹介している。

 勧告は原子力研究開発機構の安全管理能力を問題視するものだから、その組織体質への言及は当然のことだが、もんじゅ、さらには核燃サイクルの問題は、運営主体の体質だけが問われているのではない。技術的、経済的に破綻しており、その存続そのものが問われている。

 ニュース7も言及しているように、これまで1兆円以上の事業費(=税金)が使われているが実用化のめどすらたっていない。運転していなくても維持費に毎年約200億円かかっている(ニュース7は、行政推進会議の会合でも、もんじゅ関連予算に疑問の声が上がっているとして、紛らわしくもテロップでのみで「使用済み核燃料の運搬船が」と断りを入れて「ほとんど使用されていない、ここ5年間は一度も本来の用途で使用されていない…年間維持費が12億円かかっている」という意見を紹介している)。

 高速増殖炉の冷却材には水ではなくナトリウムを用いるが、ナトリウムは水と激しく燃焼反応するため、技術的に安全を確保するのが難しく、先進国の多くはすでに撤退しているのが現状だ。開発を進めているのはロシアと中国、インドだけだ。

 また、「唯一、実用化していたプルサーマルも先行きが見通せない。再処理費用をかけた分、MOX燃料はウラン燃料に比べ割高になる。これまで海外に加工を依頼して輸入したMOX燃料の価格は、通常のウラン燃料の7~9倍とも推計される。費用がかかりすぎ、使用済み核燃料などのゴミを減らす効果もほとんど期待できない」朝日、15/07/27)

 ニュースウォッチ9「一般の原発から出た使用済み核燃料にはプルトニウムが含まれ、青森県六ケ所村にある再処理工場で取り出されます。もんじゅはこのプルトニウムを燃料として再利用します。最大の特徴は発電しながら使った分よりも多くのプルトニウムを作り出せることです・・・」

と言うが、六ケ所村の再処理工場もまだ稼働していない。

 「これまで20回以上、完成時期が延び、建設開始からも22年がたった。建設費は当初計画の7600億円から2兆2千億円に膨らんだ」朝日、15/07/27)「来春に始まる電力の小売り全面自由化で地域独占が崩れると、お金のかかる再処理から撤退する会社が出てくるおそれもある。経産省は再処理事業の維持に向けて国が関与する仕組み作りを進めている」朝日、15/11/12)

 ニュース7の冒頭でキャスターの武田真一が述べている通り「夢の原子炉が夢のまま」なのであり、運営主体を変えたところで夢がかなうわけではない。